――「免疫力アップ」ではなく、「体力キープ」が重要なのですね。

大津 そうです。抗がん剤の影響で味覚が変わって食欲が落ちた時などは、しっかりした味なら食べられることもあるので、ファストフードやスナック菓子でも「おいしい」「食べられる」と思われたなら、遠慮せず食べて十分なエネルギーをとり、体力をキープしていただきたいですね。

 副作用や症状によって吐き気が強い時期には、食べ物のにおいが刺激になって温かい料理や肉類を受け付けなくなることもありますが、においの少ない冷たいアイスクリームやゼリー、味のはっきりしているチョコレートなどは食べやすく、すばやくエネルギーを摂取できます。糖質は、苦境の時ほど命綱にもなる大事なエネルギー源なのです。コンビニやスーパーで手軽に買えるもの、運動時の栄養補給と謳われている栄養補助食品なども安心して活用してもらいたいと思います。

 終末期にも味覚が変わることがよくあり、今まで好きだったものが食べられなくなって、これまで手を出さなかった食べ物にはまる人もいます。ある肺がん末期の患者さんは、亡くなる前の2カ月くらいカップ麺にはまっておられました。普通なら塩分や脂質が多いので控えた方がいいものですが、この患者さんは味覚が低下してほとんど食べられなくなっている時に、カップ麺のはっきりした味やにおいに食欲をそそられたのでしょう。嬉しそうに「おいしい、おいしい」と食べて、ご家族も「食べられるものがあって良かった」と見守っておられましたね。一般的には健康に悪いとされているものでも、その患者さんのQOLを上げ、食事の量を最期まで保ってくれて、命を繋ぐものになることがあります。