Safe Walks NYC(インスタグラム @safewalksnyc)が3月20日に主催した「StopAsianHate」のデモ。“Who’s life matter?”“Who’s street?”というデモ隊リーダーたちの呼びかけ(コール)に対して、“Asians’ lives matter!”“Our street!”と応答(コールバック)しながらデモ隊の行進は始まった。男性が持つプラカードには「セックス産業の非犯罪化」と書かれている(写真、Retsu Motoyoshi、以下同)

 2020年以来、米国で増えるアジア系米国人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)。直近では、ジョージア州アトランタのマッサージパーラーで起きた、アジア系女性を含む8人が殺される銃乱射事件が記憶に新しい。

 その背景には根強い嫌中感情に加えて、新型コロナの感染拡大が挙げられる。米国は世界最大の感染国であり、新型コロナによる死者数は第二次大戦における死者数を超えた。その厄災の元凶は中国だと考えている米国人は少なくなく、それがアジア系へのヘイトクライムにつながっている面がある。

 もっとも、米国全体がアジア系に厳しい目を注いでいるかと言えば、もちろんそんなことはない。むしろ多くの米国人は、アジア系へのヘイトクライムに対して抗議の声を上げている。人種や出身国を越えて、さまざまな人間が集まっていることそのものが米国のアイデンティティだからだ。筆者の住むニューヨークで始まった反ヘイトクライムのデモを写真で振り返る。(元吉 烈:映像作家・フォトグラファー)

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反ヘイトクライムデモに集まった人々

 タイムズスクエアを出発し、コリアンタウン(32丁目)、チャイナタウン(カナル・ストリート)をコールしながら歩く。時間とともにデモ隊に参加する人々が増えていった(下の写真)。

「白人至上主義を終わらせろ」というプラカード。