週末の夜になると若者が路上に溢れてナンパ・スポットと化した「銀座コリドー街」。銀座の数寄屋橋交差点に面し、“日本一の宝くじ売り場”がある「西銀座デパート」(現・NISHIGINZA)。銀座と新橋の境界に連なる商店街の「銀座ナイン」――。
これらの商業ビルは”高速道路”の高架下に建つが、不思議な点がいくつもある。
例えば「住所」が無いことだ。
「銀座ナイン」の命名は“9丁目”設置の希望に由来
銀座ナインは1号館~3号館まであるが正式な住所は無く、便宜上、「中央区銀座8-10先」と、「先」を付けている。銀座は8丁目までしかなく、“9丁目”の設置を希望して「銀座ナイン」と命名されたが、現在まで9丁目はできていない。
一般的に高速道路は公共団体が運営しているが、銀座のこの部分だけは民間企業の「東京高速道路株式会社」が所有し、運営している。そしてこの東京高速道路こそが、計400もの飲食店・オフィスが入居する銀座コリドー街、銀座ナインなど14の商業ビルを所有する、知られざる「銀座最大のビル所有者」なのである。
コロナ禍による飲食店への影響はここも例外ではなかった。多くが休業・時短営業となり、収入減と重い家賃負担にさらされてきた。
その1つのビルで居酒屋を経営している男性はこう話す。
「私の店は休業しましたが、昼間だけ営業している店舗があるという理由で、休業後も共用トイレの清掃やガードマンの費用まで取られました。家賃に加えてこの共益費が高く、毎月100万円近くになる。
元を辿れば、ここは東京都が所有して貸し出しているはずなんです。東京都が賃料を下げれば、我々の家賃も下がるのではないでしょうか?」