(写真はイメージです)

(西尾 太:人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表取締役社長)

 あなたは上司として部下をしっかりと「評価」していますか?

 忙しくてきちんと評価できない、評価の基準が不明確なので評価できない、厳しいことが言えない、よく見てない、など、評価できないことの言い訳をしていませんか?

360度評価は本当に公正なのか

 尊敬できる上司の要素の1つに、「公正・公平に評価してくれる」という項目があります(参考:「アンケート集計結果 『上司と部下』について」エン転職)。正当に評価してほしいと部下は思っています。

 評価制度を導入・改定するとき社員からよく聞こえてくる声に、「あの人に評価されたくない」「あの人の評価は信頼できない」「あの人に適切な評価は期待できないから、あきらめている」といったものがあります。これは深刻です。制度もなにもあったものではありません。きっとこれまでそういうことがあったのでしょうね。

 だったら360度評価(1人の被評価者に対して、上司・同僚・部下がそれぞれの立場から評価する手法。別名「多面評価」)にすればいいのではないか、という声があり、実際に導入している企業もあります。しかし、これ、公正でしょうか。

 どの会社も上司間で評価基準を揃えるのにものすごく苦労しているのに、社員全体の評価の目線を揃えることができるでしょうか。

 360度評価をすると、部下からの評価では「やさしい上司」の評価が高くなり、「厳しい上司」の評価は低くなりがちです。実はやさしい上司が「良い上司」とは限りません。逆も然りです。また、立場を問わず期待値が高い人には厳しい評価をし、さして期待していない人にはいい加減な評価をしてしまうことがよくあります。