なお、台湾では日常的に中国のサイバー攻撃を受け、かなりのマスコミが中国寄りの報道をし、フェイクニュースが垂れ流されていることに大きな危機感を抱いていた。

 日本も、このような事態が「対岸の火事」として軽視できるような状況ではないことを銘記しなければならない。

台湾戦略研究学会との日台戦略対話

 米中は貿易戦争の枠組みを超え、覇権獲得競争あるいは新冷戦といわれる大国間対立に突入している。

 この時代に、民間のSSRIと台湾の大学(国防大学を含む)や研究機関を広く包含する台湾戦略研究学会との間で、戦略対話の定期開催に関する覚書を結んだことの意義は大きいだろう。

 一方、わが国には、これほどまでに米中の長期的・構造的対立が顕在化し、その影響がわが国にも直接・間接に及んでいるにもかかわらず、ひたすら経済面における協調要因にしか目を向けない大きな勢力が存在している。

 このようなことは国際的にみれば異常としか言いようがない。

 これが、悲しきかな日本の実情であり、中国こそがすべてという経済界、そして中国に同調する一部の政治家・マスコミの本音であろう。

 (確かに一部の心ある政治家は、台湾との真の関係構築と交流の拡大を考え行動していることは心強いが、この流れが主流になることを期待している)

 悪い流れを助長しているのが、昨年10月、中国を訪問し「日本と中国の関係は完全に正常な軌道に戻った」とし、日中関係は「競争」から「協調」へ変わったと安倍晋三首相に言わしめた、日本のねじれた政治風景ではないだろうか。

 本当に中国との関係が正常に戻ったと言うのならば、領海を含めた尖閣諸島周辺海域に40日以上にわたって侵入し続ける中国軍艦の行動も「正常な軌道」ということなのだろうか。

 そうならば、尖閣諸島は中国の領土であると認めたことになるだろう。防衛計画大綱では、中国は「安全保障上の大きな懸念」と表現しているが、もう一度ここに戻って発言を訂正することが必要だろう。

 さらに、次々に日本人がスパイ罪に問われ、逮捕され実刑の判決を受けているが、これが首相の言う「正常な軌道」の中の話なのか。