平成の30年間で、日本へのイメージはどのように変わったのか。

(三矢 正浩:博報堂生活総合研究所・上席研究員)

 私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化をみつめ、さまざまな研究活動を行っています。

 前回に引き続き、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。

平成を通じて大きく変わった日本へのイメージ

 4月に入り、新元号「令和」や新紙幣デザインなど、新しい時代への動きを感じさせる大きな発表が次々となされました。新元号の発表直後には、新聞の号外が飛ぶようになくなったり、新元号の入ったさまざまなグッズが発売され、話題になったりしていました。さらには、元号のルーツになっている古典『万葉集』や、新紙幣に使用される人物に関係する歴史書などの売れ行きも好調とのこと。にわかに生活者の間で、日本やその歴史について改めて注目しようという機運が高まっているようです。

 そこでふと気になったのが、そもそも生活者はいま、日本に対してどんなイメージを抱いているのだろうか、ということ。人それぞれにいろいろなイメージを持っているかと思いますが、何か大きな傾向のようなものはあるのでしょうか。

 博報堂生活総研の「生活定点」では、生活者のさまざまな意識や行動、価値観の変化について継続的に調査しています(首都圏・阪神圏の20~69歳男女 約3000名に聴取、調査概要は記事末尾に記載)。

 その中には、「日本に対して誇りに思うこと」について聞いた設問があるのですが、これをみると実は、日本に対するイメージが平成初期から現在にかけて、だいぶ変化していることが分かります。いったいどんな変化が起きているのか。さっそくデータを確認してみましょう。