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(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)
4月9日、外務省での河野太郎外相の記者会見で、次のようなやりとりがあった。
(記者)「アメリカ政府がイランの革命防衛隊をテロ組織に指定するということを発表しましたけれども、不必要に緊張を高めているのではないかという指摘もあると思いますが、大臣の受け止めをお願いします」
(河野外相)「(略)日本として、そうした動きに追随するつもりはございません。イランがミサイルあるいは地域における様々な活動について、しっかりと自制をしてもらうということが、この地域の安定に必要なことだと思いますので、我々としても少しイランと意見交換をしていきたいと思っております」
つまり、日本政府は革命防衛隊(イスラム革命防衛隊:IRGC)をテロ組織とは認識しておらず、彼らが自制することを期待しているというのである。
この河野外相発言には、さっそくイラン側が反応した。4月10日、イラン国営のPress TVが以下のように報じたのだ。
「日本は、革命防衛隊にテロ組織のレッテルを貼る米国に従わないと述べた。河野外相は、東京はイランと緊密な関係を保っており、今後も対話を通じて問題解決に努めると述べている。日本は米国の動きに対する非難の合唱に加わった最新の国である」
イランの報道では、日本は米国よりイラン側の国だ、というわけだ。
ISに代わって危険な存在として浮上
イランの革命防衛隊をテロ組織に指定しないほうがいいという考えのもとには、河野外相が語ったように、イランの自制に対する期待がある。しかし、それは甘い考えだ。現実に、イラン革命防衛隊はイラクやシリアで、自制とは真逆の凄まじい破壊活動を行っており、中東の平和を大きく阻害している。彼らの行っていることは、テロそのものであり、多くの現地の人々を苦しめている。革命防衛隊に圧力をかけなければ、彼らはイラクとシリアを足場として、中東全域に脅威を及ぼしていくだろう。