ソ連崩壊後に完成したAn-148にしても、ロシアで製造する部品があり、ウクライナ危機以降、ロシアからの部品輸入が難しくなった。これまでと同じ部品を使っての生産は不可能になっている。

 現在、ロシア以外のソースを探すとしているが、そうなれば開発の大幅なやり直しが必要になる。

 ロシアとの関係が悪化した現在、航空機生産は今まで以上に困難になったことは明らかである。何とか別の調達先を探して、必要な設計変更を行い、生産体制を再構築しなければならない。

 しかし、アントノフにはこうした仕事をすることがすでに難しいようだ。すでに航空機メーカーとしての体をなしていないのである。

 例えば、ソ連時代末期から「An-70」という新型輸送機を開発していた。

 この機体は高速と低燃費を両立するプロップファンや純炭素繊維複合材製の尾翼、デジタル化されたコックピットなど、先進技術が詰め込まれた機体であった。

 一時期、NATO(北大西洋条約機構)で採用するという話もあったくらいだ。

An-70型機 先進的技術を多く持つが、結局、量産を立ち上げることができなかった。特徴的な青いプロップファンはロシア製で、ロシアの協力なしに製造ができないうえに、主翼の生産ができる工場がない。