鳥インフルエンザが「物価の優等生」に忍びよる

乱れ始めた卵の価格

2011.03.24(Thu) 漆原 次郎
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 島根県安来市で2010年11月に、「高病原性鳥インフルエンザウイルス」が検出されて以来、九州などを中心に感染が拡大している。2月26日には三重県南伊勢町で新たに感染が見つかり、今期最多となる26万羽の殺処分決定が下された。また3月12日には千葉県千葉市の養鶏所で4羽の鶏の感染が見つかり、3万5000羽の殺処分に着手した。

 2010年11月以降、全国の農場で、高病原性鳥インフルエンザに関係して殺処分された家禽(おもに鶏など)の数は、165万羽以上となった。

 鶏が感染したのは、すべて「A型インフルエンザウイルスH5N1亜型」とよばれるもの。新聞やニュースでは「H5N1亜型」と表される。

日本の養鶏場を襲った強毒型のウイルス

 「H5N1亜型」とはどんなウイルスなのか。まず、前提として、インフルエンザウイルスには大きく分けて「A型」「B型」「C型」がある。今、問題になっている「H5N1亜型」は、A型の中での話だ。人がかかるのもA型であることが多い。

 A型はさらに、「ヘマグルチニン(hemagglutinin)」というタンパク質15種類のうちのどの型(亜型という)に当てはまるかと、それに「ノイラミニダーゼ(Neuraminidase)」というタンパク質9種類のうちのどの型(亜型という)に当てはまるかで、細かく分類される。

 ヘマグルチニンは「H」または「HA」、ノイラミニダーゼは「N」または「NA」と略される。

 つまり、「H5N1亜型」は「インフルエンザのA型のうちの、Hの型が5で、Nの型が1のもの」という意味になる。

 Hの型のうち、5と7は病気の原因となる力が強いことが知られており、この2つの型は日本で「高病原性鳥インフルエンザ」に指定されている。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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