南シナ海でのFONOPを実施した米海軍駆逐艦マッキャンベル

 アメリカ海軍が、2019年に入って初めての南シナ海でのFONOP(公海における航行自由維持のための作戦)を実施した。それに対応して、中国は対艦弾道ミサイルでの反撃態勢が整っている状況を誇示することでアメリカ側を牽制した。

米国が制定した「アジア再保証推進法」

 1月7日、アメリカ海軍第7艦隊に所属し横須賀を母港とするイージス駆逐艦マッキャンベルは、中国とベトナム、それに台湾が領有権を主張し中国が実効支配を続けている西沙諸島(現時点では島嶼名は公表されていない)沿岸の12海里内海域を通航した。

 マッキャンベルは昨年12月5日には、ロシアによる「過剰な領海線の主張」を牽制するため、ウラジオストック沖のピョートル大帝湾でFONOPを実施した。それに引き続き、今回は中国による西沙諸島での「過剰な海洋主権の主張」を牽制し「国際法に基づいた自由航行が確保される」ためにFONOPを実施したのである。

 今回のマッキャンベルによる西沙諸島でのFONOPは、2019年初のFONOPであるというだけでなく、米国が昨年12月末に「Asia Reassurance Initiative Act(アジア再保証推進法:ARIA)」を制定して初めてのFONOPとなる。

 ARIAには、東シナ海と南シナ海を中心としたインド洋・太平洋地域において、同盟国や友好国との合同海洋訓練やFONOPを実施することにより、この海域での国際法に基づいた秩序維持を促進することを含む外交的戦略を構築し、実施しなければならないことが明示されている。

 このため、トランプ政権は今後も南シナ海でのFONOPや海上自衛隊、オーストラリア海軍、イギリス海軍などを巻き込んでの合同訓練などを積極的に実施していくであろう。