もちろん、米中全面戦争は避けたいというのも、米側の真意である。そのため、あくまで中国との軍事的対決に至っても局地的な限定的衝突にとどめようとすることは確実だ。したがって米中軍事対決の戦域は、(場合によっては西太平洋を含むかもしれないが)ほぼ間違いなく南シナ海と東シナ海が中心となるであろう。

米駆逐艦、南シナ海の南沙諸島付近で「航行の自由作戦」

南シナ海を航行する米海軍誘導ミサイル駆逐艦ディケーター(2016年10月21日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / US NAVY/Petty Officer 2nd Class Diana Quinlan〔AFPBB News

極めて強力な攻撃能力が必要な米軍

 南シナ海や東シナ海で米中による軍事的な睨み合いが勃発した場合、それらの海域に出動可能な艦艇数は中国海軍側がアメリカ海軍側を圧倒している。かつては中国海軍の艦艇は、数量は多くても「戦力的にはアメリカ海軍や海上自衛隊に対抗することなど考えるだけ無駄」といった状態であったが、現在の中国海軍の戦力は、部分的には海上自衛隊や米海軍を凌駕する艦艇をも手にするに至っている。

 アメリカ海軍が中国近海で中国側を軍事的に抑制しようとする際は、中国海軍の艦艇だけが障害となるわけではない。中国本土の多数の航空基地から発進する航空機、同じく中国本土のあらゆる場所から発射される様々な対艦ミサイルや対空ミサイル、それに中国沿海域の海上、海中、空中といった、中国軍側にとっては安全な領域に展開する艦艇や航空機から発射される各種ミサイルなども、アメリカ海軍や米軍航空部隊にとって厄介な障害となって立ちはだかるのだ。

 したがって、アメリカ軍が、このように質・量ともに強化が急速に進んでいる中国軍の接近阻止戦力と対峙するためには、日本を中心に極東方面海域に展開するアメリカ海軍に、極めて強力な防空能力、対艦攻撃能力、対地攻撃能力を備えさせなければならないというわけだ。

弾道ミサイル防衛任務が重荷に

 しかしながら、日本周辺海域に展開するアメリカ海軍艦艇は、弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)を重視する態勢を固めてきていた。