(加谷 珪一:経済評論家)
このところ日本では、飲食店のドタキャンやクレジットカード手数料の上限設定、食べログの手数料問題など、諸外国では見られない社会問題が頻発している。それぞれに個別の要因があるが、日本人の購買力が著しく低下し、経済の要である消費が著しく衰退していることが背景となっている。
食べログの従量課金移行で零細飲食店がピンチ!
今年(2018年)の夏、グルメサイト「食べログ」が徴収する手数料の是非がネットでちょっとした話題となった。議論の発端となったのは、食べログに情報を掲載している店舗が、食べログの課金による負担が重いため、直接、お店に予約を入れてほしいという張り紙を掲示したことである。
苦しい経営を余儀なくされているという店側の主張に賛同した人が、この張り紙をネットで拡散し、いくつかのメディアが記事で取り上げる事態となった。
食べログでは、店舗運営者向けに販促サービスを展開しており、このサービスに加入すると月額1万円から10万円の固定料金がかかる。これに加えてネットから予約が入った場合には、顧客1人あたり100円から200円の予約料を食べログに支払う必要がある。
お店にもよるが、この金額は零細な店舗にとっては大きな負担となっている。一般的な飲食店の場合、食材などにかかる原価率は約20~30%が相場となっており、売上高から原価を差し引いた粗利益の中から、店舗コストや人件費、原価償却費など諸経費を捻出することになる。飲食店は競争が激しく、店舗の最終的な利益率は10%を切ることも多い。