衛星RSP-00(中央)を手にするリーマンサット・プロジェクトのメンバー。左からファウンダーの大谷和敬さん。RSP-00プロジェクトマネジャーの嶋村圭史さん。プロジェクトの母体、一般社団法人リーマンサットスペーシズ代表理事の宮本卓さん。

 熱意があれば、ここまでできる──。広大な宇宙を目指す挑戦は、今ではかつてのような国家プロジェクトの専売特許ではなくなってきた。そんな中、今度はサラリーマンによる手作り衛星が、2018年9月15日に打ち上げられる。それはどのような衛星で、どのような思いを載せたものなのか。宇宙ライターの林公代氏がレポートする。(JBpress)

新橋の居酒屋から全ては始まった

 宇宙を目指すプログラムは大学やさまざまな団体などで展開されるようになり、学生による手作り衛星は珍しくなくなった。だが、宇宙を専門に学んでいない、一般のサラリーマンらが趣味で作った人工衛星が、日本のロケットで9月15日に飛び立とうとしているのをご存じだろうか。

 それはリーマンサット・プロジェクトによる衛星「RSP-00」だ。「リーマンサット」とはサラリーマンによるサテライト(衛星)のこと。ネーミングがまず、面白いではないか!

「ちょっと自虐ネタなんです。社畜とか、サラリーマンって日本特有の造語ですよね。海外では言わない。総務省のデータでは日本で6000万人ぐらいサラリーマンがいて、その約6割が本業で頑張っているというアンケート結果があります。じゃあ、残りの4割は何をしているのと(笑)。この4割がもし本気でやりたいことをやったら、すごいことができるぞと思ったんです」

 そう語るのは、2014年11月にリーマンサット・プロジェクトを立ち上げたファウンダーの一人、大谷和敬(おおたに・かずたか)さん(本職は画像処理ソフトウエアの事業開発と営業)。30代半ばになり、会社では中堅どころだ。

 会社ではなかなかチャレンジできないことをやる場を作りたい――。大谷さんが本当にやりたいことが「宇宙」だった。そこで仕事帰り、新橋の居酒屋で5人のサラリーマンが議論を重ねた。

「当時、宇宙関連では勉強会のような団体はありました。でも、やるなら宇宙に行くものを作って、サラリーマンでも宇宙に手が届くと示したい」(大谷さん)

 発足から約4年、趣味の宇宙開発に取り組むメンバーは350名に。そして本当に衛星を作り上げ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の厳しい審査をパスして打ち上げの時を迎えたのだ!