米中を大幅に下回る日本のベンチャー投資の現実

数字で見るオープンイノベーション(1)

市川 隆治/2018.9.3

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大企業とベンチャーはどうすれば手を取り合えるのか?

「オープンイノベーション」という言葉がバズワード化している昨今であるが、これを一時のブームに終わらせてはいけない、というのはベンチャーに携わる誰しもの願いであろう。今のポジションに就いてから8年が経過し、その間ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業、さらには起業家教育を実践されておられる大学の先生方や研究機関の方々などからお話を拝聴し、また、最近ではアメリカ、フランス、イスラエル、エストニア、中国、台湾などの諸外国の実例を間近に見分してきた私も、これまでの活動を総括してみたいと考えるようになった。

 オープンイノベーションは、大企業がこれまでの自前主義から脱し、外部のベンチャー企業などとの技術やビジネスの連携によりイノベーションを進めていこうとするものであるが、私にはそれ以上のことが、特に、日本企業の場合には求められていると考えている。

 最近の大手電機メーカーの不振や検査業務のごまかしにみられるように、かつての大企業の厳しい規律がゆるんでいるように感ずるが、これは日本型大企業制度のほころびとも言える。この延長線上に、自前の研究開発では新たな製品が生まれにくいという現状があるのではないか。

 そこで外部のベンチャー企業のアイデアを注入し、イノベーションを促進していこうとなるのであるが、実はそれにとどまらず、大企業の経営体質自体を変えていくことが今の日本には求められているのである。言わば、ベンチャーの突破力を使って、大企業の経営を変えていくということである。

 いわゆる大企業病に「指示待ち」「命令待ち」というのがある。言われるのを待ち、言われたことしかやらない。視野が狭く、好奇心のかけらもない状態とも言える。社員の一人ひとりが生き生きと活躍するにはどうしたらいいか? 生き生きとしたビジネスを展開している起業家の助けを借り、大企業のトップ自らが経営のやり方を変えることが重要である。

ベンチャーとの組み方

 まず、自社にとってパートナーとしてふさわしいベンチャー企業をどのようにして見つけるか?

 幸い、オープンイノベーションを標榜するイベントには事欠かない。しかし、イベントでは通り一遍の説明だけで心もとない。そこで最近登場したのが「コーポレートアクセラレーター」である。大企業とベンチャー企業の橋渡しをする専門知識を有する仲介事業者で、種々のプログラムを通して、両者の距離をだんだん縮めてくれる。