私は株主総会に参加するために堺工場を訪れたが、工場内は自由に歩くことはできなかった。広大な敷地とセキュリティのためだ。株主専用のバスが最寄り駅から出ていて、これを使用する他ないのだ。

 正門から太陽電池工場にある本社まではおよそ1キロ弱。バスに乗って本社前で降り、ようやく「定時株主総会会場」と書かれた会場に入った。

 本社内を進むと、創業者早川徳治氏の銅像や経営信条等が目に入る(下の写真)。その前を通って、株主総会の会場である「多目的ホール」へと進む。

シャープ創業者・早川徳治の銅像と経営信条(筆者撮影)

 この日の進行は、正式な報告と決議を行う午前の「株主総会」と、午後から開かれる「経営説明会」の二本立てとなっている。

あっという間の「事業報告」と「議案説明」

 総会は午前10時に始まった。

 総会は、戴社長が議長になり、常務執行役員で社長室長である橋本仁宏氏を議長の補助者に指名して始まった。橋本氏は、シャープのメインバンクの一つである三菱UFJ銀行出身。鴻海のシャープへの出資後は、シャープに転籍し、社長室長として管理部門を担当している。

 総会ではまず「監査報告」が監査委員会より簡潔に報告された。

 驚いたのは、引き続き行われた「事業報告」と「議案」の説明の場面だ。パワーポイントの図表と、自動のナレーション機能であっという間に済まされてしまった。時計を見ると10時18分。スタートから20分も経っていない。

 事業分野別の詳しい説明はなく、4月に発表した「2017年度決算概要」を見てくれと言わんばかりの徹底した「合理化精神」ぶりであった。

 そこからは株主との質疑応答だ。ここでも「日本語限定、1人1件、2分以内」などの条件が付けられて始まった。

 そこで飛び出したのが、冒頭に紹介した戴社長の「宣言」だ。