今国会で成立予定の働き方改革関連法案に関心が集まっている。その中でも目玉と言えるのが「高度プロフェッショナル制度(以下高プロ)」である。
与党は今国会でなんとしても成立させたい意向だが、野党は「過労死促進法案」であるとして反対している。
筆者は高プロという制度には賛成だが、日本社会には馴染まないと考えている。理由を記す前に、米国で生まれた高プロについて触れたい。
長い歴史がある米国の高プロ
高プロは米国では長い歴史があり、米国内でいま大きな社会問題になっているわけではない。
一般の勤労者については、第2次世界大戦前に公正労働基準法ができて1日8時間、週最高40時間の基本労働時間が定められた。40時間を超えた場合の残業手当は、基本給の50%増しとされた。
だが専門職はこの規定の適用から外された。過去何度か高プロの規定が改正されているが、基本的には多額の給料を得る代わりに労働時間や条件が取り払われる内容に変わりはない。
「たくさん貰うのだからいっぱい働きなさい」という決め事が良いことなのか悪いことなのかの判断は分かれるが、米国社会は高プロを続けている。年俸10万ドル(約1090万円)以上の社員・職員に適用されている。
民間企業だけでなく、米政府高官も対象になる。