アメリカ軍関係情報筋によると、中国軍は南シナ海に建設した7つの人工島(すなわち前進軍事拠点)のうちの3つの人工島に、地対艦ミサイルシステムと地対空ミサイルシステムを設置したという。
フィリップ・デイビッドソン次期アメリカ太平洋軍司令官は議会で「中国軍は、中国本土から数千マイルも離れた(南シナ海)海域へ軍事力を投射し軍事的影響力を及ぼすことができるようになった。・・・今や中国は、米中戦争を除いては、あらゆるシナリオで南シナ海をコントロールする能力を手にしたのだ」と証言している。今回のミサイル配備は、この証言をさらに補強する動きといえるだろう。
ほぼ完成した中国の人工島基地群
これまでも本コラムでしばしば取り上げているように、2014年春に中国が南沙諸島の岩礁を埋め立てて人工島を建設している状況が確認されてから(本コラム2014年6月26日「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」参照)わずか4年もたたないうちに、7つもの「立派な」人工島が誕生し、そのうちの3つの人工島(ファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁)には、戦闘機や爆撃機をはじめとする各種軍用機や大型旅客機が離着陸可能な3000メートル級滑走路が建設されるに至った。
現在は、それぞれの3000メートル級滑走路に加えて軍用機の格納整備施設や、各種レーダー装置をはじめとする管制施設も設置され、航空基地の機能が整っているありさまだ。そして航空基地に隣接して、大型軍艦まで着岸可能な規模の港湾施設も建設されており、海軍艦艇と軍用機が使用可能な本格的な海洋基地が誕生しつつある。