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 一見、何も問題がないように思える夫婦でも、妻が離婚のタイミングを常に頭の片隅に置いているとしたら・・・。一緒に生活をすれば、お互いいろいろ不満もあるものの決定的なこととしては、絶対に言ってはいけない言葉の問題だ。

「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」
「文句があるなら同じだけ稼げ」
「どうせ暇なんだからそのぐらいやれ」

 他にも、本人が気にしている容姿や体のこと。何の気なしに、こんな言葉を妻に投げかけたことはなかっただろうか。

 人格の否定につながるような言葉や態度は一生忘れない。一瞬で夫婦の絆を失う。妻に対しての接し方について思い当たることがあれば、感謝の気持ちを態度に表し、尊重、思いやりを持って接する。まずは家事を積極的に手伝うなど、できることから始めればまだ間に合うかもしれない。

つづく

長尾和宏医師プロフィール

1958年6月生まれ。香川県出身。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。1984年東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科に入局。1986年より大阪大学病院第二内科、市立芦屋病院内科勤務を経て平成7年に、尼崎市に長尾クリニッックを開業し、外来と在宅医療を両立させる。「町全体が私の病棟、自宅は世界最高の特別室」をモットーに、「町医者」として、病院で1000人、在宅で1000人を超える患者を看取ってきた在宅医療のオピニオンリーダー的存在。さらに、日本尊厳死協会副理事という立場から、高齢者の健康、終末期医療、尊厳死・平穏死について啓発活動に取り組み、提言を行っている。毎日ブログを発行する傍ら、複数のメディアで連載を担当、『平穏死10の条件』『抗がん剤10のやめどき』『薬のやめどき』『痛くない死に方』『親の「老い」を受け入れる』など、ベストセラーとなる書籍も多数ある。