4月に開園する「ふくろうの森」。真ん中の土管の先に手押ししきの井戸がある。手前には様々な作物を植えられるミニ農園もある。

 女性にとって働きやすい環境こそ会社の将来を左右する――。業績を急拡大させているコンタクトレンズ大手のシードが、女性の働きやすさを追求する改革へ向けて大きな投資に踏み切った。

 埼玉県鴻巣市にある基幹工場に隣接して保育・児童施設「ふくろうの森」を4月にオープンする。投資額は約5億円。

2015年の営業利益分を保育施設に

 これは同社の2017年3月期の営業利益(15億1800万円)の約3分の1にあたる。いまから3年前、2015年3月期の営業利益比ではほぼ100%という投資額である。

 それだけ思い切った投資を保育・児童施設にした理由について、浦壁昌広社長は「女性活用は企業を永続的に発展・成長させるために不可欠。会社にとって最重要課題の1つです」と説明する。

 しかもシードが新しく作った「ふくろうの森」は、単なる社内保育施設ではない。地域の人たちにも大きく開かれた施設なのだ。

 認可保育園である「ふくろうの森保育園」と企業主導型の「シード保育園」、そして学童が放課後の児童クラブとして利用する「学童保育ふくろうの森」の3つからなる。

 このうち、「シード保育園」が社員向けの施設となる。定員は12人。それに対して「ふくろうの森保育園」は鴻巣市の認可保育園で定員が90人。つまり、ここで預かる子供たちの大半は同社とは関係がないことになる。

 浦壁社長は「土地代と毎年の固定資産税は地域貢献だと思って会社負担です。ただ建築費用については今後30年で何とか回収させていただきたいと考えています」と言う。

 同社で働く女性社員のための投資というより地域貢献の意味合いの方が強いのだ。