トヨタ、多目的自動運転EVを発表 物販やライドシェアも

米ラスベガスで開かれた家電見本市CESで、自動運転技術を活用したモビリティサービス専用電気自動車「イー・パレット」を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長。(2018年1月8日撮影、資料写真)(c)AFP PHOTO / MANDEL NGAN〔AFPBB News

デジタル化がモビリティを解き放つ

 デジタル化はヒトやモノの移動(モビリティ)を、より自由に、より多様にしていく。

 すなわち、第1にデジタル化はモビリティを定地性・定時制から解放する。鉄道やバスなどによるヒトの移動や、混載輸送や宅配便などのモノの移動は、出発・到着地点と出発・到着時間が決められたサービスであった。だが、ヒトやモノの移動のニーズと、移動手段の所有者・提供者のニーズが合致すれば、ヒトやモノはどこからどこにでも移動できるようになる。それらのマッチングはデジタル化によって可能性が広がり、時間も大幅に短縮されてきている。

 第2に、デジタル化は業法で定められた事業者からモビリティを解放する。これまでは鉄道・バス・タクシーやトラック・船舶・航空機など、定型的な輸送手段を持つ事業者がサービスを提供してきた。輸送手段の現在情報や供給能力がデジタル化で広く共有されるようになると、貨客混載のような移動手段の共有化も進む。業法が緩和されれば、ライドシェア(一般人による相乗り)やクラウドデリバリ(一般人によるモノの配達)も進む可能性がある。

 第3に、デジタル化は固定的な運賃(標準運賃、タリフ)を解き放つ。すでに航空運賃や貨物の貸切輸送などでは、ダイナミックプライシングのような、需給の状況に応じた、運賃になっている。今後はデジタル化によって運賃に関する規制緩和が進み、需給バランスを瞬時に反映した柔軟な価格でモビリティが提供されるようになるとされている。