中国で運転手が座る「無人運転」バスの試運転 道交法に規定なく

2017年12月2日、中国・深セン市で深セン巴士集団による「スマートバス」の公開式典が行われた。まだ「無人運転」を実現できず、運転手が乗車している(提供写真)。(c)東方新報〔AFPBB News

 今年(2018年)2月、米ニューヨークで61歳のタクシー運転手が市庁舎前で拳銃自殺した。背景にあるのは生活苦だった。その運転手は、自家用車のライドシェア増加を規制しない市政府の無策に対し自らの命を絶って抗議したのだ。

 タクシー業界が時代の波に翻弄されている。構造変化を促すのは、ライドシェアの普及にとどまらない。英デイリーメール紙電子版は「自動運転が実現すれば、先進国で深刻な失業を招く」(オクラホマ大学のスバス・カーク氏)と警鐘を鳴らす。

 自動化による失業は、タクシー業界のみならず世界中のあらゆる業界で問題になるとされている。

 マッキンゼー&カンパニーの調査によれば、製造業の比率の高い日本では米国よりも自動化の導入が進むという。同社は、2030年までに日本で自動化されるようになる作業時間の割合は最大値で52%だと試算する。これは、比較対象となった中国、ドイツ、インド、メキシコ、アメリカの中で最も高い数字だ。

自動運転化で世の中はどう変わるのか

 賃金水準が高く、また人手不足が顕著な日本のタクシー業界でも自動化が進んでいくはずだ。全国ハイヤー・タクシー連合会は「自動運転の実現はまだまだ先の話」と言うが、日本の道路に自動運転車を導入するタイムスケジュールはすでに打ち出されている。国土交通省によれば、2025年には高速道路での完全自動運転が実現し、その後、完全自動運転の時代が到来するという。