「新たな1年」が本格的に動き出した。その皮切りに、まずは「昨年の実績」をまとめたものが世に現れる。
自動車の分野では、まずは「2010年、日本国内で最も多く売れた乗用車は『プリウス』だった」という話がメディアを賑わした。
日本自動車販売協会連合会(自販連)が統計月報を発表するのが毎月、稼働日の4日目、つまり「平成22年12月までの確報」については連休明けの1月11日だったので、そこから一斉にテレビ、新聞がニュースとして流したわけだ。
どこも「12カ月間に31万5669台という数字は、1990年にカローラが記録した30万台を上回る新記録」であって「ユーザーの選択は『エコカー』志向が強まっている」というところに力点を置いた、いつもどおり「ユニゾン(斉唱)」の報道ではあった。
販売台数ランキングのカラクリとは
ここで「(日本国内における)販売台数の『車名別』ランキング」という数字の裏側をちょっと覗いておこう。
日本では、同じメーカーの製品を扱っていても、いわゆる販売チャネルが異なると、異なる企業が経営している別法人、という形が長く続いてきた。自販連は、そうした自動車ディーラーの全国組織である。そこで製品としては同じクルマであっても、販売チャネルによって別の車名を使っている場合は、自販連の統計上は別のクルマに分けられる。
逆に、製品としては別物であっても、冠として1つの車名を使っている場合は、販売台数としては合計でカウントされる。
もう少し具体的に言うと、1990年の「カローラ」はカローラ店系列で販売され、お化粧だけを少し変えた同じクルマがトヨタオート店系列では「スプリンター」として売られていた。
これが「車名別」の販売台数となると、それぞれクーペボディーの「カローラ・レビン」と「スプリンター・トレノ」が合算されていたし、カローラにはワゴンが、スプリンターには5ドア・ハッチバックが加わっていた。