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インドネシアのフローレス原人、進化の過程で小型化か

インドネシア・ジョクジャカルタ(Yogyakarta)で、フローレス原人(学名:Homo floresiensis)の頭蓋骨(左)を披露するT. Jacob教授(奥)。右は現生人類の頭蓋骨(2004年11月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/AGUS SUPARTO〔AFPBB News

(文:村上 浩)

 人類進化の大きな流れを概説しながら、かつてのアジアにどれほど多様な古代型人類が存在したかを、最新の研究結果を踏まえながら教えてくれる一冊だ。現在の地球でホモ属に分類されるのはわたしたちホモ・サピエンスだけだが、数万から数十万年前の世界がどれほどバラエティ豊かな人類によって彩られていたかにワクワクせずにはいられない。本書で特筆すべきは、これまで人類進化を語るうえでの中心地となりにくかったアジアの地に焦点が当てられていること。人類誕生の地アフリカやネアンデルタール人の闊歩したヨーロッパだけでなく、アジアもまた人類揺籃の地だったのだ。

 アジアの人類進化を中心に追いかけていく本書では、文筆家である著者が人類学の研究現場に自らその足を運び、知の最前線のリアルな姿を臨場感たっぷりに伝えてくれる。「新たな人類の発見」というニュースの裏にある、人類学の研究者たちが何を探して、どのような証拠をもとに何を考えているのかという探索と思考のプロセスまでもを楽しむことができる。

人類は5段階を経て進化した

 人類は、初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人という5段階を経て進化してきた。700万年ほど前に現れた初期の猿人は、半樹上性・半地上性であり、森林から平原の生活に適応していく過渡期にあった。ここから、人類は今ではチンパンジー等が分類される類人猿と別の道を歩き始めたのである。忘れてならないのは、現在まで生き残っている人類は新人である我々ホモ・サピエンスだけだが、その進化の過程には実に多様な人類が存在したということ。わたしたちの親戚ともいえる古代型人類がどのような外見だったのか、どのような生活を営んでいたのか、どのように現代のホモ・サピエンスへと繋がってきたのか、想像するだけでも楽しくなる。