このほかにも、なぜ中国が軍事力を行使してまで、北朝鮮によるアメリカや韓国それに日本に対する報復攻撃を阻止しなければならないのか? という疑問も生ずる。

「中国が放射能汚染の被害を受けるのを阻止する」と言っているものの、万が一にも韓国や日本が核攻撃された場合、中国よりも日本のほうが数倍の放射能汚染を被ることになる。そして核攻撃がなされなくとも、韓国や日本が北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を受けて社会的インフラをはじめ大打撃を受けることは、中国にとってはむしろ望ましい状況である。それを想定すれば、少なくとも中国が軍事力を行使してまで阻止する必要はないのである。

結局、得をするのは中国だけ

 中国共産党首脳の戦略も、金正恩政権首脳の戦略も、当然のことながら現時点では明らかにされていない。しかしながら、中国による北朝鮮に対する先制侵攻という想定には無理が多い。

 中国軍が中朝国境に集結しているのは、やはり、トランプ政権が北朝鮮を軍事攻撃するや否や北朝鮮に雪崩れ込み、朝鮮半島における中国の優勢的立場を確実にするためである、と考えた方が自然であろう。

 いずれにしても、日本やアメリカにとっては極度のマイナス要因だけしか生み出さない北朝鮮情勢から、なんらかの利益を得られるかもしれないのは中国だけといえよう。