スリランカ・コロンボのビーチ。スリランカはこれまでインドの陰に隠れることが多かったが、今後、消費市場として有望である

AECが発足するも国別の取り組みが続く

 2015年12月31日に発足した「AEC」(ASEAN経済共同体)は、4つの方向性を目指していた。

①単一の市場と生産基地
②競争力のある経済地域
③公平な経済発展
④グローバル経済の統合

 世界で6番目に大きな経済規模を占めるASEAN 市場の誕生に伴い、上記「①単一の市場と生産基地」について特に注力が図られている。具体的には、モノ、サービス、投資、資本の自由な移動の実現が目指されている。

 2015年11月に採択された“AEC Blueprint 2025”では、2025年にかけて、上記4つの方向性に沿った取り組みを強化することが述べられている。さらに、2017年2月には、具体的な行動計画が示されており、新たに5つの方向性が示された。

(1)「高度に統合された経済」
貿易円滑化措置の実施加速、金融統合の推進、熟練労働者の移動円滑化など

(2)「競争力のある、革新的、かつダイナミックなASEAN」
 効果的な競争政策、租税協力など

(3)「連結性の強化とセクター別の協力」
 交通運輸インフラの整備、ICTの活用、電子商取引制度整備など

(4)「強固、かつ包摂的で人間志向、人間中心のASEAN」
 中小企業の強化、格差是正など

(5)「グローバルなASEAN」
 域外国との経済連携協定の改善など