引退後も闘い続けたアリ氏、最強の男を苦しめたパーキンソン病

米ニューヨーク市内にあるモハメド・アリ氏の壁画。パーキンソン病を患っていたアリ氏は、3日に74歳で死去した(2016年6月4日撮影)。(c)AFP/Jewel SAMAD〔AFPBB News

 患者の足元に緑色の光の線を照射し、メトロノームのように一定のリズムを刻む音を出す機器が間もなく世に出る。これは、パーキンソン病にみられる「すくみ足」を改善する機器「Qピット」。

 鳥取県米子市でホームケア渡部建築を経営する渡部和彦社長(43歳)が開発した。本年度中の発売を目指している。

 すくみ足とは、一歩が踏み出しにくかったり歩行中に足が思うように動かなくなったりする症状。

 すくみ足に悩む患者に「Qピット」を試験的に使ってもらったところ、スタスタ歩けたことから「もう手放せない」と、モニター試験の期間終了後も返却せずそのまま使い続ける患者がほとんどという。

 (未装用と装用時の映像で、患者がスタスタ歩く様子が分かる。参照=https://youtu.be/crQpWnNV2l0

養和病院の理学療法士・土中伸樹さんと「Qピット」を装用して歩行訓練をする患者さん。

 「Qピット」の開発にあたって、養和病院(鳥取県米子市)の理学療法士・土中伸樹さん(55歳)に患者からモニター評価を集めるための協力を得た。

 きっかけは2年前に「患者の自宅に手すりを設置したいから一緒に来てほしい」という土中先生からの要請をホームケア渡部建築の渡部社長が受けたことだった。

 転倒を防ぐために手すりを設置した際に「レーザーポインタを足元に照射すると歩けるんだけどな・・・」と、ため息をつく土中先生に、渡部さんが製品開発を提案した。

 「すくみ足」のことは知っていたものの、渡部さんが実際に患者の姿を目の当たりにしたのは、この日が初めてだった。