現代と起亜、燃費の過大表示で制裁金1億ドル 米当局と和解

韓国の現代(ヒュンダイ)自動車(Hyundai Motor、下)と起亜自動車(Kia Motors)のロゴマーク。(c)AFP〔AFPBB News

 2017年8月31日、ソウル中央地裁は、「通常賃金訴訟」で起亜自動車敗訴の判決を出した。起亜の負担額は1兆ウォン(1円=10ウォン)に達する見通しだ。

 中国での販売急減、労組のストの直撃を受けている起亜自動車は、この負担も加えた「3重苦」で7~9月期に10年ぶりの赤字に転落する可能性が高い。

 「財閥にとって悪夢のような2つの判決」

 韓国紙デスクは、起亜自動車への判決直後、こう話した。

韓国財閥、8月の相次ぐ悪夢の判決

 6日前の8月25日、同じソウル中央地裁は、サムスングループの事実上の総帥である李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長に贈賄などで「懲役5年」の実刑判決を出したばかりだった。

 今度は、現代自動車グループの主力企業である起亜自動車に対して、衝撃的な判決となった。

 李在鎔副会長への判決で地裁は、「包括的で暗黙的請託」というあまりなじみのない産業界にとっては「仰天解釈」をした。今度の起亜自動車の判決も、同じように「釈然としない判決」だった。

 韓国の1位と2位の財閥が、地裁判決に振り回される8月になってしまった。どんな案件だったのか。

通常賃金の範囲は?

 起亜自動車の従業員2万7000人が、「通常賃金」の範囲を見直し、経営側に、未払い賃金の支払いを求めて訴訟を起こしていた。

 「通常賃金」とは、残業代や休日手当てなどを計算するベースになる。労使合意では、通常賃金に「賞与」や「昼食代」などを含めないことになっていたが、原告側は、これらを含めるべきだと主張していた。

 判決は、一部の原告主張は認めなかったものの、実施的に原告勝訴で、「通常賃金」に、賞与や昼食代を含め、起亜自動車に対して、2008~2011年までの未払い・利子を合わせて4223億ウォンの支払いを命じた。

 2012年以降の分を含めると、起亜自動車の負担額は1兆ウォンを超える見通しだ。起亜自動車は、判決に不服だとして控訴を決めた。