多くの企業はデジタルネイティブに向けて、SNSを通じて日々情報発信して関心を引き留めることに工夫をこらしている。近年ではSNSでの情報発信だけではなく、SNSでキャンペーンを展開する企業が増えてきた。SEO対策同様に、SNSでもキャンペーンもSNSの機能や仕様を熟知して効果的に活用していく必要がある。

顧客が商品のハッシュタグで発信したら、何らかのインセンティブを与えたり、プレゼントキャンペーンに応募できるようにしたりすることはよく見かける光景だ。近年では店舗のスタンプカードをLINEで実施しているところもある。来店や商品購入でQRコードを発行し、顧客はそれを読み取ることでスタンプカードにスタンプをもらうという仕組みだ。顧客がスマートフォンを持つことを前提で販売促進策が進められている。

カギとなるデータ収集とシステム連携

デジタルネイティブな顧客向けには多くがまだ模索している。中でもマスメディア広告のように一方的に情報発信するだけではなく、複数のチャネルを組み合わせて展開するところが難しい。

例えばネットの広告で、顧客の行動履歴から関心のありそうな広告を表示するというものがある。ただし過去に閲覧したページだからといって関心がまだ残っているとは限らない。例えばすでに購入した商品であれば広告を出しても意味がないどころか、かえって反感を買いかねない。

クーポン発行などキャンペーンを展開するなら、顧客のプロファイルや行動履歴から適切なアプローチをしていくことが効果を高めることにつながる。例えば旅行商品を購入した顧客に利用する空港にある店舗のクーポンを発行するとしよう。車を持たない顧客に駐車料金のクーポンを送付しても意味がない。顧客が興味や関心を持つ店舗のクーポンであればビジネス的な効果を見込める。顧客の年代、性別、年収やライフスタイルなどのプロファイルから効果的なクーポンを発行できたほうが望ましい。

複数のチャネルを組み合わせて効果的なキャンペーンを行うにはデータ収集とシステム連携は不可欠だ。顧客データは個人情報が含まれるためセンシティブで慎重に収集する必要があり、当然ながら漏洩することがないようにセキュリティも厳重に扱わなくてはならない。またWebサイトやSNS、チャネルごとにシステムや担当者が異なるということもよくある。効果的に連携するようにシステムの結合も工夫していく必要がある。

システム的な要件で考えるなら、多様なデータ形式を受け入れる柔軟性、即座に効果的なビジネスアプローチができるように分析処理の高速化、役割ごとに適切な情報の閲覧や操作ができるようなセキュリティなどが求められる。

「顧客がここを通りかかったらクーポンを発行する」など顧客に合わせた販売促進策のアイデアは2000年を過ぎたころからあった。しかし当時はまだスマートフォンが普及していないため位置情報を把握することが困難であり、サーバー側の処理能力も追いつかず、技術的な課題が多く実現は難しかった。ところが今では顧客のほとんどが位置情報を把握できるスマートフォンを持ち、通知機能もあり、スマートフォンを通じたキャンペーンに応じることに対する顧客の心理的な抵抗も下がってきている。

技術的にも習慣的にも、モバイルやデジタルを通じたマーケティングは実用段階へと突入した。目新しくて魅力的な手法や演出でデジタルネイティブの心をつかんだ企業がこれからの勝者となるだろう。