ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手の米フェイスブックの創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏が資産の大半を寄付する慈善活動に参加することになった。同氏は弱冠26歳だが、米経済誌フォーブスの長者番付では36位。その推定資産は69億ドル(約5800億円)とされ、この活動への参加で同氏はその大半を生前あるいは死後に寄付することになる。
ザッカーバーグCEOが大きな寄付を発表したのはこれが2度目。同氏は今年9月にテレビ番組に出演し、ニュージャージー州の公立学校に最大1億ドルを寄付すると約束していた。今回の活動については、「多くの人は現役時代の終わりに社会への還元を行う。しかし人生の早い段階で還元し、その成果を見ることができるという機会もある」と述べている。
ゲイツ氏とバフェット氏の「ギビング・プレッジ」とは
この活動は「ギビング・プレッジ」と呼ばれ、今年の6月に米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長夫妻と著名投資家のウォーレン・バフェット氏が始めたものだ。8月には、映画監督のジョージ・ルーカス氏、米ニューヨーク市のブルームバーグ市長、米オラクルのラリー・エリソンCEOなど、合計40人が参加した。
今回はこれに続く2回目となり、ザッカーバーグCEOを含め合計17人が参加した。同じくフェイスブック共同創設者のダスティン・モスコビッツ氏や、米AOL共同創設者のスティーブ・ケース氏、著名投資家のカール・アイカーン氏といった顔ぶれになっている。
ギビング・プレッジの目的は、富裕層の寄付の意思を公に示して、それを通じてさらに多くの人の寄付を促すというもの。寄付の金額を定めたり、実際に寄付を行ったかという確認はしない。生前あるいは死後に自身の資産の少なくとも半分を慈善活動に寄付するという誓約を求めるだけで、参加者はその意思を示す「誓約の書簡」を書いて、ギビング・プレッジのウェブサイトで公開する。そうした人々の輪が広がれば、社会全体で寄付が増えていくとゲイツ氏らは考えている。
世界最大の慈善基金団体
こうして見ると世界2位、3位の資産家であるビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏の活動はやはり影響力があるようだ。その両氏が慈善活動で協力を始めたのは4年前。バフェット氏は2006年に自らの資産の85%を複数の慈善財団に寄付し、その大半をビル・ゲイツ氏の慈善財団「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」に回すと発表。金額にして約370億ドル、歴史上類を見ない寄付と話題を呼んだ。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は当時でも世界最大の慈善基金団体だったが、バフェット氏の寄付によって規模が倍増した。その支援対象は、保健医療、新薬開発、教育、貧困撲滅などと多岐にわたっている。
ロックフェラー財団など米国には古くから大規模な慈善財団が多くあるが、それらは国という仕組みを介さない富の再配分システムと言ってよいだろう。ゲイツ氏とバフェット氏の活動はその頂点にある。