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 2017年2月28日、富士通株式会社は同年4月21日から全社員約3万5000人を対象に「テレワーク勤務制度」を正式導入すると発表した。上司の許可があれば回数に制限はなく、この制度の導入により自宅はもちろんサテライトオフィス、出張先や移動中など勤務場所にとらわれずにフレキシブルな働き方が可能になる。

テレワーク勤務制度は国策

 テレワーク勤務とは、パソコンなどのITを活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を指す。

 政府は2007年5月にテレワーク推進に関する関係省庁連絡会議の決定として「テレワーク人口倍増アクションプラン」を策定し推進しているが、その趣旨は多様で柔軟な働き方を可能にすることで、仕事と子育て、介護の両立を図り、少子高齢化に伴う労働力不足の解消に寄与することだ。今回の富士通の「テレワーク勤務制度」は、まさにそうした国策に沿っている。

 そもそもテレワークには雇用型テレワークと自営型テレワークの2種類がある。

 企業に勤務する被雇用者による雇用型テレワーク人員は、2012年に710万人まで増加したが、その後減少が続き2014年にはおよそ480万人となっている(平成26年度 テレワーク人口実態調査 国土交通省)。2012年をピークに2年連続で減少した原因は明らかではないが、ICTが十分に活用されず従業員の管理に支障をきたしたり、セキュリティ面に問題が生じたりして、生産性の向上が得られなかったことなどが考えられる。