現在の朝鮮問題が熱戦や治安事態に変化するのか、あるいはまた延々とした6カ国協議に戻るのか、について断言できる人は少ない。また仮に6カ国協議に戻るとしても、早晩、熱戦・治安事態の危機が再発生することも明白である。

休戦が破られれば国連軍が必然的に参戦する

朝鮮戦争開戦から60年、「挑発止めよ」と韓国大統領

朝鮮戦争中の1953年9月、編隊を組む米空軍「F86戦闘機」〔AFPBB News

 この事態を前に日本が今、早急に、準備をすべきことは何であろうか。

 熱戦・治安事態が生起した場合、中国がどういう立場を取るかが最大の鍵であるが、米中両国はともにそれを望んでいないので、米中戦争に発展させることは避けられると期待する。

 いずれにせよ朝鮮戦争は休戦中であり、休戦が破られたとなれば、米韓両軍はもとより、休戦時にニューヨークで再結集を約束した朝鮮国連軍参加各国の多くがこの収拾のために参戦することになろう。

 日本はこの朝鮮国連軍参加各国との間に「国連軍地位協定」(1954年)を締結しており、在日米軍基地のうち7カ所を国連軍用基地として指定している。

 日本政府は1999年に「周辺事態法」を制定した。これは朝鮮半島で熱戦・治安事態が生起した場合、米軍を支援するに当たり「米軍地位協定」のみでは不十分、という認識の下に策定されたものである。

まずは「国連軍支援」の明文化を

 日本がこの事態に国連軍を支援する必要があるのなら、まずは、現「周辺事態法」の中に「国連軍支援」を明文化する必要がある。

 さらに、いまだ「国連軍地位協定」に参加していない韓国との間で本協定の調印・締結がなされなければならない。特に治安事態になった場合、韓国内にある米韓両軍基地は脆弱となるので、米韓両軍を含む国連軍にとって日本の基地は極めて重要になる。

 この基地提供のみならず、これら国連軍に日本の港湾・空港等を提供し、また様々な援助を与えることが、直接参戦できない日本にとって何よりも重要となる。

 その援助の多くは情報・後方兵站を含む軍事援助なので、陸・海・空自衛隊が中心となって支援しなければならない。現在、日・米・韓プラス豪等の連携が叫ばれているが、これらの援助がしっかりできるように準備することでその連携が現実のものとなる。