今回、空母機動部隊の動き、巡航ミサイル搭載原潜の派遣、アフガニスタンでのMOAB (Massive Ordnance Air Blast=大規模爆風爆弾)の使用、あるいは岩国基地におけるF35Bの爆弾搭載訓練、SEALS支援船の派遣など、米軍は普段は決して公開しないものを続々と公開した。本当に作戦実施なら、手の内をばらすような馬鹿はしない。

 これらは「太陽節」に合わせて準備した核実験を阻止するための金正恩に対する威嚇行動であり、それを何としても止めさせろという習近平主席に対する強いメッセージである。

 攻撃実施のメルクマールとして、NEO(Non-combatant Evacuation Operation)、つまり「非戦闘員退避作戦」の開始がある。韓国には現在、観光客を含め米国市民や軍人家族(軍人を除く)が10万人余り存在している。米国が北朝鮮に手を出せば、「ソウルを火の海にする」と北朝鮮は公言しており、事実上の人質状態とも言える。

 16日、ヒル元米国務次官補は「韓国には、北朝鮮の大砲の射程に約2000万人が住んでいる」とテレビ番組で指摘している。作戦を命ぜられた司令官がまず考えるのは、一般市民、特に自国民をいかに保護するかである。

まだ発令されていない非戦闘員退避

 ちなみに、「3.11」の原発事故の際、日本でNEOが発動され、関東一円から米軍人家族が一っ子一人いなくなったことはあまり知られていない。

 現段階においては、マイク・ペンス米副大統領が訪韓するなど、NEO「非戦闘員退避作戦」は開始されていない。こんな状態でマティス長官やマクマスター補佐官が攻撃実施を大統領に進言することは先ずあり得ない。

 また一個空母機動部隊と在韓米軍では北朝鮮攻撃には明らかに兵力不足である。北朝鮮攻撃はシリアとは状況は全く異なる。38度線に集中する約1万の火砲(多連装ロケット砲や長射程火砲など)はソウルを向いている。

 ソウルを「火の海」にしないためには、初動でこれらを一挙に壊滅させねばならない。同時に、核施設や核貯蔵施設を完全に破壊しなければならない。これには明らかに兵力不足である。

 金正恩を直接狙った「斬首作戦」があると主張する専門家もいる。だが実態上、非常に難しい作戦である。リアルタイムで金正恩本人の動向を把握できなければならないからだ。

 これは偵察衛星ではできない。2006年、ザルカウイ容疑者を「斬首」した時のように、側近に裏切り者がいて逐一、金正恩の行動が把握できなければ、現実的にはこの作戦は不可能だ。

 またこの作戦は失敗が許されない。失敗すれば北の独裁者は「火の海」や「核攻撃」を直ちに命ずるだろう。朝鮮半島はシリアとは違って「ちょっとだけ懲罰を」という作戦はあり得ない。「Half Pregnant」はあり得ないのだ。

 米中首脳会談でトランプ大統領は、「中国が影響を行使できないなら、米国は単独でもやる」という強いメッセージを習近平に伝えた。現在、ボールは習近平主席側にある。今回の米軍の動きは、まずは習近平主席の「お手並み拝見」というメッセージなのだ。