教育勅語(出所:Wikipedia)
拡大画像表示

 大阪の学校法人・森友学園が安倍首相の夫人・昭恵さんを名誉校長にし、幼稚園児に教育勅語を読ませていたことが国会で問題になり、稲田朋美防衛相の失言が出て騒ぎになっている。これは国会で証人喚問するような問題ではないが、ちょっと考えさせる。

 教育勅語は戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が禁止したので、「軍国主義を子供に教え込む危険思想」と思われている。世の中では教育勅語は、ヒトラーがドイツ人を戦争に駆り立てた『わが闘争』のような軍国主義だと思われているが、それは本当だろうか。

教育勅語は危険思想なのか

 稲田氏が国会で「日本は道義国家を目指すべきだという教育勅語の精神は取り戻すべきだ」というトンチンカンな答弁をしたのは、国民道徳協会の「超訳」によるものだろうが、「道義国家」という言葉は原文にない。

 原文は上の写真のような短い訓話だが、これを読んで意味の分かる人はほとんどいないだろう。当時の子供も最初の「皇祖皇宗」の部分しか分からなかったようだが、当時の文部省図書局による「全文通釈」の前半は次のようなものだ。

 朕がおもふに、我が御祖先の方々が国をお肇めになつたことは極めて広遠であり、徳をお立てになつたことは極めて深く厚くあらせられ、又、我が臣民はよく忠にはげみよく孝をつくし、国中のすべての者が皆心を一にして代々美風をつくりあげて来た。[中略]

 

 汝臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし、夫婦互に睦び合ひ、朋友互に信義を以て交り、へりくだつて気随気儘の振舞をせず、人々に対して慈愛を及すやうにし、学問を修め業務を習つて知識才能を養ひ、善良有為の人物となり、進んで公共の利益を広め世のためになる仕事をおこし、常に皇室典範並びに憲法を始め諸々の法令を尊重遵守し、万一危急の大事が起つたならば、大義に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為につくせ