「大学は岐路に立っている。ここでないと学べないということをやらないと意味がない」と小山嚴也副学長。
「本学には、横浜・神奈川という地の利がある。地の利を生かした教育は、大きなアドバンテージになる」

関東学院大学 経営学部 副学長 小山 嚴也 氏

 

「地域は学びのフィールドである」

 「学生をどんどん外へ、地域へ出していく。同時に、大学の中に外の存在を取り込むというのも内外の交流のあり方だ」と小山副学長は語る。
例えば国際化ひとつとっても、学生を留学に出すだけでなく、留学生をキャンパスの中に取り込んだり、外国の大学に進学した日本人が戻ってくる受け皿を用意したりすることで、内と外の間の交流を活性化させることができる。大学内へのインパクトはむしろ内部へ取り込む方が大きい。 

地域との交流も同じだという。
「大学と地域の間の交流はどんどん活性化している。大学の体験を共有することで、地域住民にとっても大学は顔の見える存在になってきた」と小山副学長。
キャンパスをオープンにしたり、図書館が所蔵する貴重資料を公開したりすることで、地域住民も大学に足を運びやすくなった。いつでも来てください、遠慮は要りません」という大学側のメッセージが地域に届き始めた結果ともいえる。

ただし、同学が取り組んでいるのはただ地域に対して大学をオープンにするというだけではない。大学ならではの付加価値をつけることも意識している。
小中学生を対象にしたスポーツイベントを一般に開くときも、「大学が持つ知の資源を使わないのはもったいない」と、例えば栄養学部の監修をつけて「子どもアスリート食堂」を開設するなど工夫している。スポーツにも大学のアカデミックな側面をつけてイベント化することで、大学のファンも増えるのだという。

こういった「体験的地域連携」の場には、さまざまな人々がやってくる。大学と地域が直に接触する必然性やその面白さを、双方向的に味わってもらおうというのが、関東学院大学の新たな目論見だ。大学が地域、企業、自治体、海外などを繋ぐ新たな社会ハブとして機能することを目標としている。
さまざまな実践的な取り組みが、学生にとっての学びとなっているのと同時に、教員・地域・企業といった大人たちに対する学びにもなっているというところも面白い。
 

プラットフォームとしての経営学部

 こうした大学全体の動きの中で、新設の経営学部には社会連携教育プラットフォーム「K-biz」としての性格が与えられる。サポーター企業10社と地元高校2校からなる経営学部アドバイザリーボードでは教員たちとの間で新たな教育のカタチが議論される。

 「10社のサポーター企業に、一緒に組んで何か新しい取り組みを始めましょう、と話をすると、どこもウェルカムで乗ってくれる。社会の中にも、学生・大学に対して連携して新しいものを創造したいというニーズ・期待が存在している」

サポーター企業には、さまざまな業種の全国企業・地場企業がそろっている。学部新設を目前にして、既にサポーター企業間でのアイデア出しや実践が進んでいるのだという。
「今までの社会連携は大学と個別企業という一対一の関係が中心だったが、K-bizでは1つのプロジェクトに対して大学と複数企業がコラボするといったような関係が生み出されている」と小山副学長は喜ぶ。
「サポーター企業にも、K-bizというプラットフォームをいい実験場として使ってくださいと話している」と小山副学長。

※K-bizサポーター企業
アーバンコーポレーション/KADOKAWA/京急電鉄/中外製薬/野毛印刷/
博報堂/毎日新聞社/三菱東京UFJ銀行/モスフードサービス/横浜ベイシェラトン ホテル & タワーズ

有機的な取り組みは既になされている。
たとえば、「障がいと社会」をテーマに、K-bizのスポーツ関連の教員・学生とサポーター企業2社が共同して、車いすテニスのスポーツイベントを開いた。
また別のサポーター企業との間では、地元の農家や漁業関係者を巻き込んで野菜や海産物の即売を行う「K-bizマルシェ」が行われている。この取り組みを見た他のサポーター企業からは横浜や鎌倉方面に比べるとまだ観光客の少ない三浦半島を舞台に「三浦半島ウォーカー」のようなものを学生に作成してもらっても面白いのではないかという意見が出ている。まさに地域密着型の発案だ。
他にも、高校と大学が連携してグループワークを行い企業に発表する総合学習や、K-bizを通じての企業の人材育成プログラムの授業など、既に始動したり考案されたりしている取り組みは多い。

「こういったプラットフォームを提供することで、ぱっと思いついて提案したアイデアが実行に移せるようになっている。ここは企業や地域の垣根、高校や大学の垣根を越えた場所だ。こういった有機的なかかわりがある場所では、アイデアが出やすい。そしてすぐに『じゃあそのアイデアを組織化しませんか』という提案ができる。イノベーションが起こりやすい」
「大学と地域をくっつける。企業をくっつける。いろいろな業界へ広げていく。断絶を埋めて、垣根を越える場所を、これからも発展させていきたい」

大学も変わり続けている。理論と実践のすき間を埋め、学生の時から大学と地域・社会という二つの場所を往復して「つながる」「垣根を越える」経験をすることで、学生たちは理論と社会を接続させて「身体で」学ぶことができる。
「『腹落ち』する体験、それが、実学の本当のあり方だ」と小山副学長は力を込める。
 

<取材後記>

 横浜・神奈川エリアも高齢化や人口減少などの様々な課題に直面している。
「こういった課題を地域と共有し、整理するという役割を持って、関東学院大学は「よろず相談所」になりつつある」と小山副学長。

学部新設前から柔軟に始動しているK-bizや、近年盛んになってきた地域との交流、どちらも自律的に動いているうちにつながってきた成果だという。

地域の強みを生かして、学際領域をそれぞれの専門分野の切り口で作っていこうという試みが活性化している。
地に足のついたイノベーションを起こすのは、大学というアカデミアのバックボーンを持ちつつも、既存の枠組みにとらわれず、様々なものを取り込み成長していくプラットフォームであるということを痛感した。今後、大学という場を使うことで起こっていくであろう化学反応に、ますます注目していきたい。

 


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