人口の9割がイスラム教を信仰するバングラデシュ。特別な生活習慣といえば、飲酒や豚肉食がタブーで、金曜日が休日であることや1日5回の礼拝がある程度で、それ以外はそれほど日本とかけ離れているわけではない。
「穏健かつ寛容なイスラム教国」とも言われるバングラデシュは、高い経済成長を維持する民主主義国家でもある。シェイク・ハシナ首相が率いる「アワミ連盟」政権は、特定の宗教の影響を排する「世俗主義」を掲げ、外国からの援助や資本を受け入れ、2021年までに中所得国入りを目指す積極的な経済政策を推進してきた。
東アジアや東南アジア諸国のようなスピーディーな発展は描けないが、現地には間違いなく“上昇の機運”が生まれていた。
しかし今、ようやく軌道に乗りつつあった経済発展に影がさし、「穏健かつ寛容」であり続けることも危ぶまれつつある。