「英語くらいできないとこれからのビジネスでは通用しない」と言われたり、楽天やユニクロが英語を社内公用語にするといったニュースを耳にするたびに、「ますます日本人の働ける場がなくなってしまうかも」と暗い気持ちになってしまう。さぞや英会話学校が儲かるかもしれない、とも考えてしまう。
しかし、英会話学校が繁盛しているという話は聞こえてこない。外国人と接する機会が極端に少ない環境のためなのか、受験英語にこっぴどい目に遭わされたからなのか、日本人の「英語アレルギー」はかなりのものだと言わざるを得ない。だから、「必要だ」と頭の中ではおぼろげながら考えてはいても、では必死に英語を勉強しましょう、とはならないようだ。
そもそも「英語がビジネスにとって絶対条件」かどうかも、誰も反論できないくらいに証明されているわけではないので、重い腰はなおさら重くならざるを得ない。
同じことが2000年前後にもあり、「グローバルスタンダード」という言葉が盛んに使われ始め、日本企業は「日本的経営」からグローバルスタンダードの経営へ転換しなければならないといった論調が盛り上がったのだ。
しかし、グローバルスタンダードなるものの正体は不明瞭で、世界的に絶賛されたはずの「日本的経営」が失敗し、バブル崩壊を招いた状況から脱出するために、「日本的経営」に代わるものとしてグローバルスタンダードという言葉が使われていたに過ぎないという印象もあった。
「日本的経営」にしても定義は漠然としており、1960年代の高度経済成長や、80年代の好景気(振り返ってみればバブルにしか過ぎなかったのだが)をつくり上げた経営手法を指しているはずなのだが、具体的に何だったのか、納得のいく説明にお目にかかるのは難しい。
バブル崩壊で外国人株主が急増
「日本的経営からグローバルスタンダードへ」のかけ声が高まる中で、株式市場では目に見える変化が起きつつあった。「外国人株主」の急増である。
東京証券取引所が調べた「所有者別単元株式数」によれば、99年度の全所有者に占める「外国法人等」、つまり外国人株主は12.4%だった。それが、2000年度には13.2%となり、2001年度には13.7%、2002年度には16.5%と、ぐんぐん割合が増えていく。2004年度にはいったん下がるものの、2005年度には20.5%と大台に乗る。