(ニューヨークより)
2008年の通貨危機を含めた、何十年に及ぶ足取りの重い成長によって、世界経済に対する見方は劇的な変化を遂げざるを得なかった。今、資金は投資から消費へ、重工業から“サービス産業”へ、民間部門から公共部門へ回すという議論がある。
しかし私が衝撃を受けたのは、こういった議論が経済の中で生産物の改良や進化にのみ焦点を置き、労働者には注意が向けられていないということだ。
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中国のケースでは顕著である。見方によれば中国は世界最大の経済圏である。中国が巨大な製鋼所や無人のアパートに対するさらなる投資をやめるべきなのは疑いようがない。しかし同時に中国は、労働者に目を向けて、彼らの労働技能を上げなければならない。これは、アダム・スミスからカール・マルクス、アルフレッド・マーシャルに至る経済学者たちが関心の中心に置いていた議題だ。
みながみな同意するというわけではない。特に労働技能の議論になると、特に大陸部のヨーロッパでは、必要なものは最適配分およびそれに伴うきちんと機能する組織だけだ(教育に対する投資が伴っているのならば)と考える者も多い。
大陸ヨーロッパのイタリア人、ドイツ人、フランス人は比較的短い時間にしてはよく働く。結果として彼らの時間単位の生産性・労働賃金は、アメリカやイギリスよりも高くなる。