サンダース氏、撤退せず=民主党の態勢構築に遅れも-米大統領選

米国の若者から絶大な信頼を得ているバーニー・サンダース上院議員〔AFPBB News

共和党大会前に失速しそうなトランプ

 米大統領選ではヒラリー・クリントン前国務長官が圧勝するのではないか、といった気の早い予想が出始めている。

 理由は簡単。相手になる不動産王ドナルド・トランプ共和党大統領候補(事実上)が自滅し始めているからだ。

 過激で無責任な、ほとんど実現不可能な暴言(「イスラム教徒入国禁止」など)にさすがの白人大衆保守層もそっぽを向き始めた。支持率が急降下している。

 第2はカネ。いくら金持ちとはいえ、1年以上にわたって自腹を切って賄ってきた選挙資金が底をつき始めた。それならばと、他の候補者のように大企業や一般大衆から政治資金を集めようとしても乗ってくる人はあまりいない。

 第3は米主要メディアのトランプ氏に対する「調査報道」激化。「トランプ大学」と銘打った怪しげな不動産入門オンライン講座をめぐる疑惑、脱税、セクハラ、マフィア関連など、これからさらに恥部がさらけ出されそうだ。

 第4は政界における四面楚歌現象だ。あと1か月に迫った共和党全国党大会までに副大統領候補を選ばねばならない。

 すでにジョン・ケーシック(オハイオ州知事)、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)、コンドリーザ・ライス(元国務長官)各氏らに打診したがすべて断られてしまった。残るはサラ・ペイリン元副大統領候補しかいない、といった情報も流れている。

「サンダース死すとも正義は死なず」

 いずれにせよ、長きにわたって大統領選ドラマを楽しませてくれた「主役」がこんな形で討ち死にするのを見るのは忍びない感じすらする。

 「右寄りの風」が吹き荒れた共和党予備選だったが、一方の「左寄り風」も収まっていない。

 自らを「民主社会主義者」と自認する民主党左派のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)だ。

 「地盤・看板・カバン」を誇るヒラリー・クリントン氏を向こうに回して過去1年間、堂々と戦ってきた。周辺には民主党のベテラン選挙屋を侍らせ、政策面では民主党系主力ブレーンを集めたヒラリー陣営は、まさに「連合艦隊」だ。

 一方のサンダース陣営の主力は、いわゆる「ミレニアム世代」(新千年紀世代)の若者層。

 「ミレニアム世代」とは、ご存知のように、1980年代から2000年初頭に生まれた10代、20代の若年層のことをいう。幼い頃からデジタル機器やインターネットに接しており、97%の人が自分のパソコンを持っている。