オバマには「レガシー作り」しか頭にない
米民主党大統領候補指名争い終盤戦をよそにバラク・オバマ大統領は、あと6か月の任期をレガシー(遺産)作りに懸命だ。
とにかく大統領として歴史に名を残したくて仕方がないのだろう。
その手段は、ノーベル平和賞に輝いた「核廃絶」宣言の上塗りであり、旧敵対国との和解だ。歴代大統領がやろうとしてできなかったことを6か月の間に成し遂げようというのだ。
こう見ると、キューバ訪問にしてもベトナムや被爆地・広島訪問にしてもその狙いが手に取るように分かってくる。後世の史家は「ベトナムを訪問した最初の現職米大統領」「広島を訪れた最初の現職米大統領」としてオバマ氏の名前を未来永劫記録することだろう。
国内政策では、全米の公立学校区と大学に対し、心と体の性が異なる「トランスジェンダー」の生徒・学生が自身の認識する性のトイレを使用できるよう義務づけるガイドラインを通達。LGBT(性的少数者)の権利を保護するのが狙いだ。
南部中西部の保守的な州では反発が起こっているが、オバマ大統領は意に介さない。
大統領の3選はないのでオバマ氏が再選されることはない。従って選挙民の動向を心配する必要もない。米議会共和党とは完全な絶縁状態にある。
「やりたい放題のレイムダック大統領(任期切れ間近の大統領)」と皮肉る共和党幹部もいるくらいだ。
「オバマ大統領の民主党」の次期大統領候補を決める代議員獲得競争ではヒラリー・クリントン前国務長官が大きくリードしている。
しかし各州ごとの最高得票数争いでは伏兵バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)が19勝23敗2分(5月19日現在)で善戦している。同上院議員は最後まで撤退しないと明言している。