「トランプ大統領」下で混乱する米国& 米紙が架空記事で痛烈批判

米紙ボストン・グローブの電子版に掲載された、ドナルド・トランプ氏が大統領になった場合を想定した架空の第1面を読む女性。米首都ワシントンで(2016年4月10日撮影)〔AFPBB News

ファーストレディ候補のヌードを見られた幸運な有権者

 227年の米大統領選挙史を紐解いてみても、ファーストレディになるかもしれない女性のヌード写真が白日の下に晒されたケースはない。

 共和党大統領指名争いのトップを行く「暴言王」、ドナルド・トランプ氏(69)の3番目の夫人、メラニアさんのことである(参考)。

 NATO(北大西洋条約機構)からの脱退、日米安保条約見直しなどこれまで大統領選に名乗りを上げた候補が一度も口にしたことのないような発言を繰り返すトランプ氏。そのトランプ氏にとっても当初はメラニアさんはあまり触れたくない存在だった。

 2015年6月、ニューヨークのトランプタワーで大々的に立候補宣言をした際に挨拶したのは彼女ではなく、一番最初の奥さんとの間に生まれた娘イバンカさん(33)だった。メラニアさんを差し置いて、いわば選挙戦での「事実上の夫人」は娘だったのだ。

 同年9月、最初のテレビ公開討論会で司会者から紹介された各候補は皆奥さんとの長い結婚歴を誇らしげに語ったが、トランプ氏は結婚生活には一切触れずにこう短く自己紹介しただけだった。

 「私はドナルド・トランプです。私は『The Art of the Deal』(商売取引の極意)の著者です」

トランプが元モデルの外国人妻を表に出さなかった理由

Melania Trump --The Inside Story:From a Slovenia communist Village to the White House By Bojan Pozar & Igor Omerza Zalozba Ombo (e-book), 2016

 メラニアさんが目立つのを嫌ったのか。あるいは結婚、離婚を繰り返してきたトランプ氏としては、24歳も年の離れたグラマラスな3番目の妻を選挙民に見せるのは、戦略的にはネガティブと考えたのか。

 共和党という保守的な政党では、結婚、離婚、不倫を繰り返してきた自らの「過去」は不利と直感的に感じたのか。その辺は分からない。

 ただ1つ明らかなのは、他人の言うことには馬耳東風を貫き、言いたい放題のトランプ氏も、実は米国政治のしきたりを気にしていた事例の1つということだ。他人にどう見られるかを気にしたレアケースだった。

 いずれにしても公職を目指して立候補宣言したり、自己紹介する際には、妻をそばに立たせ、皆に仲睦しいところを見せるのは、米国の政治家にとっては慣習となってきた。

 たとえ夫婦仲がうまくいっていなくとも、である。