最近とみに黒田日銀総裁がヘリコプターマネー政策を開始するのではないかという観測が、特に外国人投資家の間で強まっている。ヘリコプターマネー政策を整理すると4つのパターンに分けられる。

 1つは伝統的な財政政策で、国が国債を発行してその資金を国民にばらまくパターンだ。ばらまく名目は何でも良く、定額給付金、エコポイント、期限付き商品券や地域振興券などだ。減税もこの範疇に入る。公平性の問題はあるものの、日本人には非常になじみのある政策だろう。

 2つ目は、国民に資金をばらまく形態は同じでも、国が発行する国債が永久債で無利子またはマイナス金利のパターンだ。国債の金利がゼロ以下で永久債となれば、財政赤字に対する懸念が弱まりやすい。ただ、現在の日本では永久債は発行されていない上に、ゼロ以下の金利がつくかどうかも不透明だ。

 3つ目は、国債発行を市中消化ではなく、日銀引受けとするパターンだ。国債の日銀引受けは、戦前に日銀が政府の要請に応じて軍資金調達のために国債を引受けた結果、戦禍とインフレを引き起こした反省から、現在は法律で禁止されている。以上3つは、国債でファイナンスされる財政政策だ。

 そして最後が、外国人投資家が期待する金融政策としてのヘリコプターマネーだ。これは、日銀が保有する国債を債権放棄して、その資金を国民にばらまくパターンだ。日銀は国債を300兆円以上も保有する大口の債権者なので、ばらまく資金そのものは潤沢にあるといえばある。