伊勢志摩サミットの会議場となる予定の志摩観光ホテルクラシック(出所:Wikimedia Commons

 ワシントンで行われていたG20(主要20カ国・地域、財務相・中央銀行総裁会議)は4月15日、各国が政策を総動員するとの共同声明を採択して終了した。日本は為替介入の正当化を目標に会談に臨んだが、日本側の意向は受け入れられなかった。

 為替介入に制約が課されたことで、日本の金融政策にはさらに手詰まり感が出てきている。今回の声明自体は前回の内容を踏襲するものとなったが、5月に行われる伊勢志摩サミットでは財政出動が議題となる可能性が高まってきた

 安倍政権も財政出動の強化を検討している模様だが、金融政策が停滞する中での財政出動強化は日本にとって望ましいシナリオではない。財政出動を繰り返したものの、目立った成果が得られなかった90年代の再来となる可能性があるからだ。

IMFは世界経済の成長率見通しを引き下げ

 G20の会合に先立ち、IMF(国際通貨基金)は4月12日、最新の世界経済見通しを発表している。2016年における世界経済の成長率は、物価変動の影響を除いた実質でプラス3.2%となり、前回の見通しから0.2ポイント引き下げられた。

 IMFでは毎年4月と10月に世界経済の見通しを発表するとともに、7月と1月に見通しの修正を行っている。前回1月の見通しでは、中国やロシアなど新興国の景気失速が顕著だったことから成長率の見通しが下方修正された。前回に引き続いて下方修正された形だが、今回の主な要因は新興国ではなく主要国である。