熊本地震「数日で支援終了」=米国防総省

熊本県南阿蘇村で、米海兵隊の新型輸送機オスプレイが輸送した支援物資を運ぶ陸上自衛隊員(2016年4月18日撮影)〔AFPBB News

 熊本地震では余震が続き、破壊されずに残った家ばかりではなく公共の避難所も倒壊などの危険性があるとして、多くの被災者が屋外のテントや車で寝泊まりする姿が目立った。

 狭い車内泊などが続くと、エコノミー・クラス症候群によって肺動脈塞栓症を起こす恐れがあるとして注意喚起がされているが、現実に意識不明の重体者が報告され、死亡も確認された。

 また、今次の震災では「有り余る供給」「差配役の不足」「支援の片寄り」「孤立地域の発見遅れと未配送」など、以前の震災時とは少し違った状況も見られた。

改善されたこと、そうでなかったこと

 震災直後の救命活動を担うDMAT(災害派遣医療チーム)などの初動態勢は早く整い、他病院への患者搬送なども比較的スムーズに行われたとされる。阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして東日本大震災の教訓から訓練を重ねてきた成果であろう。

 地方自治体も自衛隊と共同訓練を行ない、また、自衛隊OB組織とも危機管理官の設置や非常時の救援活動などについて協定を結ぶところが多くなっていた。

 地方自治体の首長が思想的傾向から自衛隊との共同訓練などを行わないことは、地域住民に対して責任を持つという視点からは問題であり、大震災では「最後は自衛隊」ではなく、「最初から自衛隊」という意識が普及しつつあるからであろう。

 また、警察・消防と自衛隊の共同訓練も頻繁になり、熊本地震でも効果的に機能したと言われる。このように累次の経験を教訓に被災者支援などでは改善された面は多い。

 政府は東日本大震災の経験を生かした法改正で、被災地からの要望を待たないで支援物資を被災地へ輸送するプッシュ型支援を行った。これに呼応するように、各地の自治体や企業・団体も支援物資を集積拠点に送った。

 こうして、熊本県の県庁に設けられた支援物資集積センターには、支援物資がうず高く積み上げられていたそうで、「あり余る供給」と書いた新聞もあったほどである。

 通信機能の断絶に対しては携帯電話大手会社が気球を上げて基地局を設け、あるいは普段の電波範囲より広い範囲をカバーできる基地局にしたり、商用電源に代わってバッテリーや太陽光でも稼働する基地局にしたりした。

 しかし、想定外をなくすことはできない。頻繁に続く余震活動で、2次災害を恐れる被災地ではボランティアの受け入れもできない状況で、人員不足と道路網の寸断などから、折角の支援物資を必要な場所に配送できずに滞留させる状況が続いた。