南シナ海で中国が行っている状況は、国際世論に耳を傾けることもなく国際法を無視して、力の誇示で内海化を進めているということである。こうした中国の動きは近年の特異な現象ではなく、中国がしばしば繰り返し行ってきたことである。
1921~22年のワシントン会議は中国の国内状況などを議論し、中国に課されていた不平等条約を関係国が協力して逐次解消していくため、「支那に関する九ヶ国条約」や「支那の関税に関する条約」などを締結した。
しかし、肝心の中国が守ろうとせず、条約破りの常習犯として日本を翻弄し続けた。
同時に、会議を主宰した米英は中国の無法を見逃して日本を責め、逆に中国に加勢する状況もしばしばであった。こうした米英の宥和政策が中国のナショナリズム高揚に拍車をかけ、支那事変に発展させていった。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という。日本および日本人が賢者であるならば、日本が採ってきた経験ではなく、中国の歴史に学ぶときであろう。ここでは、主として近々100年の歴史を取り上げてみる。
日本の中国理解は間違っている?
「日本は中国と初めて重要な接触を持って以来、この中国人の特徴をじっくり考える機会を何度も何度も持ってきた。
列強諸国が中国のこのような歴史を知らずに、平和を保証するのではなくその逆に将来の災厄の種を孕むような提案を日本に押しつけようとし続けるならば、それは何の役にも立たぬことは明らかである」と、カール・カワカミは『シナ大陸の真相1931~1938』)に書く。
これはワシントン会議で、日本の主張が列強になかなか認められなかったことを指している。
カワカミは、中国の為政者は人民を奴隷のように酷使するのが常であったので、自分を痛めつけ、搾取・略奪する人が自分の上に立つ人であり、大人しい人に対しては自分が上に立っているという意識を持っているという認識も披露している。
実際、アヘン戦争(1840~42)に敗北した中国は英国と南京条約を結ぶが、「(英国が奴隷のように)彼らを扱わなかったので、中国人はいまなお自分たちが勝利を収めたと信じ、この条約を単なる冗談として受け止め、たちまちこの条約をどんどん侵しはじめた」とカワカミは言う。
長年中国とかかわり自分自身を中国の真の友人と思い込んでいた某英国人は、武力を用いることを余儀なくされるような事態になることは自分としては不愉快だし気乗りしないと思いながらも、「中国人は武力に対しては常に屈するが、理屈には決して従わない国民だ」と述べていることを紹介する。