南シナ海問題で妥協せず=米をけん制-中国首相

中国における報道は政府に厳しく統制されている。北京の人民大会堂での全国人民代表大会(全人代)閉幕後に記者会見する李克強首相を映し出すスクリーン(2016年3月16日撮影、資料写真)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News

 日本で中国脅威論が叫ばれるようになって久しい。しかし日本にとって中国の何が脅威であるのか、あるいは脅威でないかははっきりしない。漠然とした感情論がほとんどである。

 中国が脅威であるという主張の背景には中国の軍事的拡張がある。これまでの20年間で中国の軍事予算は経済成長率以上に拡大した。今や中国の軍事費は世界で第2位となった。だが同時に経済も世界第2位の規模である。その意味では中国の軍事予算は経済力相応の規模といえるかもしれない。

 一方、世界最大の軍事費を誇るアメリカを脅威だという日本人はいない。アメリカと同盟関係が結ばれているからである。結局、中国と同盟関係にない国から見ると中国の軍事的拡張は脅威ということになる。

 中国の軍事費は確かに増えている。しかし、だからといって中国の軍事力が本当に強化されているとは限らない。一部の研究では、人民解放軍の内部で腐敗がはびこり、軍事費の一部が流用されているという指摘がある。中国の軍事力は予算よりも割り引いて考える必要があるということだ。