(文:久保 洋介)
国際政治経済のゲームのルールが変わりつつある。シェール革命により自国でエネルギーをまかなえるようになったアメリカは、中東の石油に依存する必要がなくなり、不安定化する中東情勢に介入しなくなった。
かつての世界の警察官が興味を失い、ますます混迷を極める現在の中東。一方で、資源の乏しい日本はそんな不安定な地域にエネルギーの大部分を依存しつづけている。アメリカによる中東地域の安定が保障されない今、日本は国家として戦略的にこのエネルギー問題に対処すべきである。
この絶妙なタイミングで、過去の日本のエネルギー問題を振り返る本書『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』が発刊された。今や「エネルギー界の池上彰」と称されるエネルギー専門家によるエネルギー版「失敗の本質」論である。太平洋戦争時、なぜ日本は石油を求めて戦争へと突入したのか。過去の失敗から学ぶべきことは多い。
精神論で油田が見つかるか!?
太平洋戦争前後のエネルギー関連資料を読み漁った著者はこう語る。