新年早々、北朝鮮の医師2人がカンボジアの首都プノンペンで死んだ。新しい年を祝うパーティーで酒を飲み過ぎて、心臓麻痺を起こしたという診断だった。
だが、この出来事には不可解な点も残る。経済苦境にあえぐ北朝鮮は、医師などの専門家を強制的に特定の国に送り出し、外貨を獲得させていた。2人の医師の死は、そういう特殊な出稼ぎの実態を明示していた。北朝鮮の核武装への動きの背後に存在する暗部の実情が垣間見えるといってもよい。
妻たちが緊急処置を施したが・・・
カンボジアの新聞「プノンペン・ポスト」の報道によると、1月2日、プノンペン市の北朝鮮大使館から地元警察に「北朝鮮国籍の医師2人が死亡した」という通報があった。警察が同市トオルコルク地区にある北朝鮮医師団のクリニックに行くと、同クリニックで医療業務に携わってきた北朝鮮人のアン・ヒョン・チャン医師(56)とリ・ムン・チョル医師(50)が死んでいたという。
警察が調べたところ、両医師は大晦日の12月31日夜から1月1日の深夜まで他の北朝鮮人医師たちと新年を祝うパーティーに出席していた。2人は複数種類のカクテルなど大量の酒を飲み、半分、意識を失った状態でクリニックに隣接する自宅に帰った。自宅では、同じ北朝鮮国籍の医師である2人の妻たちから、アルコール中毒などを防ぐための緊急処置を受けた。