米海軍作戦部長、ジョン・リチャードソン大将(出所:米海軍)

 2016年1月5日、米海軍のトップである米海軍作戦部長、ジョン・リチャードソン(John M. Richardson)大将が「海上優勢を維持するための構想」(A Design for Maintaining Maritime Superiority)を発表した。2015年9月18日に就任して以来、初の戦略ガイダンスの発表である。

 この戦略構想は、主として「戦略環境」「判断基準」「4つの努力」について書かれている。ここではその概要を紹介し、戦略としての特徴について若干のコメントを述べてみたい。

「海上優勢を維持するための構想」を説明する8ページから成る冊子
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米海軍を取り巻く戦略環境

 本戦略構想は、戦略環境に大きな変化を与えている要因として、第1に「海洋システムと情報システム、テクノロジーの進展とそれらの相互作用」、第2に「ロシアおよび中国の急速に発展する軍事能力」を挙げている。

 具体的には、まずグローバル経済の拡大に伴う海上交通の増大、新たなテクノロジーの進展に伴う北極海航路の開発や水中資源開発、その他、移民の増大や禁制品の輸送などによって、伝統的な海洋システムはこれまで以上に重要度が増すとともに、争われるようになってきている。