(1)明──米国、米国で見られる新時代の萌芽
労働と資本の余剰、顕著に減少
2006年以来9年ぶりの米国の利上げは、米国経済がリーマン・ショックの後遺症を完全に払しょくした自信の表れと言える。
リーマン・ショック後の大不況の困難は、2000年以降のIT革命の進行による生産性の上昇により生まれた余剰労働力、余剰資本が2007年まで建設部門(=バブル産業)に吸収されていたものが、バブルの崩壊により一気に顕在化し、戦後最大の失業・賃金停滞とカネ余り・低金利を引き起したことにある。
(カネ余り・低金利の原因は各国中央銀行による量的金融緩和であるとする見解が多くみられるが、それは見当違いであろう。量的金融緩和がもし打ち出されなかったら、各国の経済不況は一段と深刻化し、資本はリスク回避を強めて安全資産である現金・国債に集中し、さらなる金利低下をもたらしたであろう。低金利は量的金融緩和があろうとなかろうと起こっていた事であり、それはより深い歴史的現実~IT革命による資本余剰~に起因していると言える。)
この労働力と資本の余剰が、辛抱強い量的金融緩和によりほぼ解消しつつある。