トランプ氏、仏人が銃持っていれば「事態は違っていただろう」

大統領選挙の共和党の候補者指名を争うドナルド・トランプ氏〔AFPBB News

文中敬称略

表紙に「怒りに満ちた顔」を使ったワケ

 本書は、米共和党大統領候補指名レースのトップを突っ走る不動産王、ドナルド・トランプの最新作である。

 表紙には、眉間にしわを寄せて怒りに満ちた表情でこちらをにらみつけているトランプ。できるだけ多くの人に読んでもらいたいなら、笑顔の一つも振りまいてもよさそうなものを・・・。

 筆者は序文でこの写真を選んだ理由についてこう記している。

 「むろん、にっこりほほ笑む、幸せいっぱいの写真も私にはある。家族はそれを表紙に使ったらとも言ってくれた。だが、私はあえてこの写真を使った。なぜか」

 「私はこの本で『不具になってしまったアメリカ』について話したいからだ。タフなタイトルだ。だがそれこそが我々の愛する国家が直面している現実なのだ。そのことに私は激しい憤りを感じている」

 不動産で巨万の富を手にしたトランプは、知る人ぞ知る著者。すでに15冊の本をものしている。なかでも1987年に上梓した「The Art of the Deal」(取引のアート)はビジネス書の古典になっている。

トランプは何を言っても批判されないのはなぜか

 キャンペーンを通じて、政治的社会的にはタブー視されている人種的偏見や他候補への中傷を平然と言ってのけてきたトランプ。

 リベラル派知識層からはその知性のなさをあざ笑われている一方で、中西部、南部を中心とした白人低所得層からは圧倒的な支持を得ている。彼らの本音を代弁しているからだ。

 米国内の知識層では定着しているPC(Political Correctness=人種別、性別などの差別廃止の立場からの政治的潔癖主義)から見ると、トランプの発言は完全に逸脱している。

 にもかかわらず、ニューヨーク・タイムズをはじめとする主要メディアはこれを厳しく批判していないように見える。トランプの言動には持て余し気味なのだ。

 なぜトランプの暴言を批判しないのか――。何人かの米国人に聞いてみた。